妊娠糖尿病(妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常)~妊娠糖尿病が増えているのをご存知ですか?~
2019年05月20日
妊娠糖尿病とは日本糖尿病学会の定義で「妊娠中に発症した、あるいは妊娠中にはじめて発見された軽度の血糖値の異常をいい、明らかな糖尿病はこれに含めない。」となっています。ほとんどの患者は高血糖による合併症を伴っておらず、胎児奇形のリスクの増加はありません。平成22年9月に妊娠糖尿病の診断基準が変更となり、診断される患者数はそれまでの約4倍で12.8%の妊婦が妊娠糖尿病と診断されます。原因は胎盤から出るホルモンが血糖値を下げるホルモン(インスリン)の邪魔をすることだとされています。
合併症
母体
- 血圧上昇
- 羊水過多(羊水の増加)
- 肩甲難産(産道で赤ちゃんの肩が出づらくなる。)
赤ちゃん
- 巨大児
- 低血糖
- 多血症
- 胎児死亡
母体
- 血圧上昇
- 羊水過多(羊水の増加)
- 肩甲難産(産道で赤ちゃんの肩が出づらくなる。)
赤ちゃん
- 巨大児
- 低血糖
- 多血症
- 胎児死亡
診断
妊娠初期と妊娠24~28週に随時(食後の適宜な時間)血糖を測定し、習慣的には100mg/dl以上であった場合に糖負荷検査(75gブドウ糖を含んだ飲料を飲みその後の血糖測定を行う)を行います。
①空腹時血糖≧92mgdl ②1時間値≧180mg/dl ③2時間≧153mg/dl この内ひとつでもあてはまった場合に診断されます。
治療
合併症を防ぐため厳密な血糖管理が必要です。
食前100mg/dl未満 食後2時間120mg/dl未満が目標です。
妊婦さんは運動療法が十分に行えないため食事療法が中心となります。
それでも血糖コントロールが難しい場合はホルモン(インスリン)を使用した治療を開始しますが、多くの方はお産が終われば中止出来ます。
インスリンは赤ちゃんに移行しないため安全に使用できます。
分娩後の管理
産後6~12週間後に再び検査を行い、妊娠糖尿病が治っているかを確認します。
治った方も妊娠糖尿病にならなかった方に比べ7倍将来糖尿病になりやすいといわれています。
生活習慣を見直し、糖尿病の発症の予防を行いましょう。
産後6~12週間後に再び検査を行い、妊娠糖尿病が治っているかを確認します。
治った方も妊娠糖尿病にならなかった方に比べ7倍将来糖尿病になりやすいといわれています。
生活習慣を見直し、糖尿病の発症の予防を行いましょう。
(第二産科 部長 豊福一輝)
※掲載内容の詳細は各科外来・各病棟でお尋ねください。