急性白血病とは一体どんな病気なのでしょうか?

大分県立病院ニュース

2019年07月31日

 急性白血病といえば、競泳の池江璃花子さん、歌手の岡村孝子さんが今まさに闘病生活を送られていることが報道されています。これまでにも夏目雅子さん、本田美奈子さん、渡辺謙さんなどの芸能人がこの病と闘ってきました。急性白血病は、急速に進行し、放置すれば必ず命を落とす病気です。しかし、医療の進歩した現在においては“不治の病”ではなくなってきています。
 血液には、赤血球、白血球、血小板という血球が含まれ、骨髄で造血幹細胞からそれぞれの血球が産生されます(図1,2)。赤血球は全身に酸素を運び、白血球は病原体を排除し、血小板は出血を止める働きをします。急性白血病では、骨髄で異常な血液細胞が急速に増殖し、正常な血球を作る働きが損なわれてしまいます。そのために、貧血、発熱、出血などの症状が起こります。

 白血病は、急速に進行する急性白血病と、ゆっくり進行する慢性白血病に大きく二分され、さらにそれぞれが骨髄性とリンパ性に分けられます。つまり、急性白血病は急性骨髄性白血病(AML)と急性リンパ性白血病(ALL)とに分けられ、それぞれの急性白血病をさらに細かく分類します。細かい分類を行うのは、抗がん剤の治療効果(効きやすさ)が異なるからで、そのために治療方針が変わってくるからです。細かい病型分類を行うためには骨髄穿刺検査が必要です(図3)。採取した骨髄液を用いて、細胞の形態、抗原解析、染色体検査、遺伝子検査を行って、白血病の病型を診断したうえで、治療方針を決めます(図4)。

 血液検査で、赤血球、白血球、血小板の血球数、および白血球分類の異常を認めたとき、骨髄検査を実施します。
 骨髄検査は、腰や胸の骨に針を刺して骨髄液を採って検査します。

 急性前骨髄球性白血病(M3)の写真です。活性型ビタミンAや砒素が治療に有効な白血病で、治癒率は約80%に達しています。

 急性白血病には抗がん剤がよく効きますので、複数の抗がん剤を用いた治療(化学療法)を行います。まずは、血液検査や骨髄検査で異常が認められない状態(寛解)を目指し、さらに化学療法を追加して、より確実な寛解状態を目指します。化学療法で治りにくい白血病に対しては、造血幹細胞移植を行うことを検討します。また、白血病細胞を特異的に攻撃する分子標的薬が登場してきており、有効な病型に対して用います。
 当院の血液内科でも、白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液がんに対して、化学療法、分子標的療法、造血幹細胞移植を行っています。

(血液内科 部長 大塚英一)

※掲載内容の詳細は各科外来・各病棟でお尋ねください。

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