がんとタバコ
2021年04月28日
―タバコでがんになることは確立された事実―
タバコの煙にはわかっているだけでも70種類以上の発がん性物質が含まれると言われています。喫煙者の肺がんは喫煙に起因する割合は90%にもなります。喫煙期間の長さが影響するとされ、喫煙開始年齢が若いほど、また喫煙本数が多いほどリスクとなります(表1)。また、肺がんの発症リスクや85歳までに肺がんで死亡する確率はそれぞれ表2、表3のとおりです。
―非喫煙者でも要注意!受動喫煙の危険性―
1日20本以上を喫煙する配偶者がいる場合、肺がんの発生リスクは約2倍になると言われています。さらに、近年の研究では残留タバコ煙暴露(サードハンド・スモーキング)と言って、衣類や部屋についた「タバコ臭」からも副流煙と同様に有毒成分が検出されることがわかっています。
―新型タバコって安全なの?―
近年、加熱式タバコや電子タバコといった製品がでてきて、「無煙で有害性が少ない」といった間違ったイメージを持たれている方が多くいらっしゃいます。
製品に多少の差は見受けられますが、タバコと同様の有害物質が含まれることが研究により明らかにされています。さらに、煙が目に見えにくく、通常のタバコと比較して臭いが少ないことから受動喫煙を避けることが困難です。
表4のように新型タバコに含まれるニコチンは紙巻タバコの8割程度とされていますが、喫煙者はニコチンの血中濃度を保つため、喫煙頻度が増え、結果的に体内に摂取するニコチン量は同程度となります。
「新型タバコで禁煙できる」といった声を聴くことがありますが、日本や諸外国での調査では、紙巻タバコと比較して新型タバコを使っている人の方が、かえって喫煙から離れづらくなっているという調査結果もあります。
(呼吸器外科 今井 諒)