乳がんの治療 ~ひとりひとりに必要な治療を~
大分県立病院ニュース
2021年08月31日
年間9万5千人の人が乳がんにかかり、年間1万5千人の方が乳がんで亡くなっています。そして乳がんの治療成績を少しでも向上させるための方法が今もなお全世界で開発されています。
今回はその一つ、術前薬物療法についてのお話です。がんといえばすぐに手術を考えられる方も多いと思いますが、最近ある特定タイプの乳がんでは、手術の前に標準的な抗がん剤治療を行い、その後手術を行ったうえでがんがどれくらい小さくなったかを調べることで、追加の治療が必要かどうかを検討する方法が行われるようになりました。
この方法の良い点は、標準的な治療法で十分な人と、追加で治療が必要な人との判別ができ、ひとりひとりが必要な治療を受けることができるという点です。さらに、追加で治療を受けた人の治療成績も向上することで、再発率の低下ひいては生存率の向上へとつながっています。当科でも積極的に術前治療を導入しています。
(乳腺外科 副部長 増田 隆伸)