DCA(方向性冠動脈粥腫(じゅくしゅ)切除術)について
大分県立病院ニュース
2022年03月31日
DCAとは、冠動脈カテーテル治療に用いる医療器具の一つで、方向性冠動脈粥腫切除術です(Directional:方向性 Coronary:冠動脈 Atherectomy:粥腫切除術)。
冠動脈カテーテル治療のほとんどは、薬剤溶出性ステントにて、治療が可能となっています。初期のステントと異なり、再狭窄予防の薬剤のため、再狭窄も少なくなっています。
しかし、冠動脈の入り口(大動脈から分岐する部分)では、入り口に過不足なくステントを留置するのは用意ではなく、かつ、適切に薬剤溶出性ステントを留置しても再狭窄が高い傾向にあります。
また、病変(狭窄部位)から血管の枝が分岐している場合、病変をステントで拡張すると枝が閉塞してしまう可能性があります。血管の枝が栄養している心臓の筋肉の範囲が広いと、枝の閉塞による心臓に対するダメージが無視できなくなります。
DCAとは、カテーテルの先端にステンレスの筒があり、この一側に小さな細長い窓が開いていて、その窓を動脈硬化病変に当てたあと(図1)、高速回転するカッターで病変を切除します(図2)。切除された動脈硬化病変は最先端部分に回収され(図3、図4)、体外に取り出すことができます。
従来のバルーンによる治療法と比較して、窓の向きを変えることにより偏心性(偏った方向)に存在する粥腫に対して効率よく選択的に治療が行え、バルーンでは十分な拡張が困難な冠動脈の入り口の病変や枝分かれしている病変に対して効果的な治療です。
(循環器内科 部長 村松 浩平)