肺がん治療について

大分県立病院ニュース

2023年03月30日

 当科では主に肺がんに対する手術を行っています。がんの進行度は大きさや転移の有無により病期(ステージ)Ⅰ~Ⅳ期に分類され、Ⅰ~Ⅲ期に対して手術が検討されます。肺がんの標準的な手術方法は肺葉切除といって、肺葉という肺のブロック(図1)をまとめて 切除する方法です(図2上)、しかしながら近年では画像診断の精度の向上から早期に発見される病変も多く見られるようになりました。小さな病変に対する縮小手術(従来よりも肺を小さく切除する方法)(図2下)について世界的に研究が進められています。

 今年報告された臨床試験の結果では、区域切除といって、肺葉よりさらに小さなブロック(区域)で肺を切除する方法が肺葉切除の治療効果と同等であったことが示され、小型肺がんに対する区域切除が肺がんの標準治療のひとつになりつつあります。そのような背景を踏まえて、当科でも早期肺がんに対して積極的に区域切除を行うように努めています。

 区域切除の対象となり得るのは、大きさが2cm以下で末梢に存在し、他に転移を認めない病変です。切除する区域につながる血管・気管支を処理し、ICG(インドシアニングリ—ン)という薬剤を使用して(図3)区域の境目を見つけ、切除します。縮小手術の合併症の頻度は従来の肺葉切除と同程度です。

参考又献:THE LANCET, vol. 399、|SSUE 10335, p1607-1617, APRIL 23, 2022 小型末梢非小細胞肺癌における区域切除と肺葉切除の比較(JCOG0802 · WJOG460L)

(呼吸器外科 医師 今井 諒)

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