糖尿病患者さんの災害時の備え
大分県立病院ニュース
2018年10月29日
ここ数年、甚大な被害を及ぼす災害が続いています。災害はいつ起こるかわかりません。糖尿病患者さんは、災害時には食事の変化、活動量の変化、環境によるストレス、薬が手に入らないなどの理由で血糖値のコントロールが難しい状況になります。特にインスリンを注射している患者さんの場合、インスリン不足が命に関わります。災害直後は医療機関も薬局も機能停止に陥ることがあるため、自分の身は自分で守るという覚悟が必要です。そこで、日頃から緊急時に備えて必要なものを準備しておくことが大切です。
災害に備えて ~3日間を乗り切るための準備を~
- 内服薬
- お薬手帳
- 血糖測定器
- 糖尿病連携手帳
- 保険証(コピーでもOK)
- 低血糖用のブドウ糖・補食
- インスリン自己注射セット
- 避難先で治療が続けられるよう、処方されている薬の名前を覚えておきましょう
- お薬手帳のページや注射の写真をスマホや携帯で撮影しておくと、薬の名前を忘れたときに役立ちます
- 水が十分に確保できない可能性があるためブドウ糖はタブレットかゼリータイプを持っていると便利です
食事
被災地で支給される食糧は、おにぎりや菓子パン、缶詰などエネルギーの高いものが多く、逆に十分な食糧が確保できないこともあって血糖値が不安定になります。必要な量だけ食べることを心がけ、食事が十分にとれない場合の薬の飲み方やインスリンの打ち方を主治医と相談しておきましょう。
運動
多くの被災地は運動ができる環境になく、運動不足となりがちです。
おすすめの運動
- 高齢者は椅子に座って膝を上下する運動
- 1日1000歩程度の歩行運動
- 歩くスペースがない時はラジオ体操
薬物
インスリンを使用している人、飲み薬だけの人で対応が異なります。食事量が不安定な場合の治療薬調整について日頃から医師に確認してきましょう。災害時に関わらず普段から内服薬は2週間くらい、インスリンは1か月分くらいの予備が必要です。医師に相談すれば余分に処方してもらえます。
低血糖
災害時、食事がとれない場合や復旧作業による運動量の増加による低血糖に注意が必要です。被災地では水やコップの準備が困難になるためブドウ糖はゼリータイプや固形のものを準備しておくと便利です。
(糖尿病看護県病専門看護師 高務藍)
※掲載内容の詳細は各科外来・各病棟でお尋ねください。