造血幹細胞移植後フォローアップ外来における看護師の活動
大分県立病院ニュース
2020年12月25日
最近、競泳の池江璃花子さんが血液疾患の治療で造血幹細胞移植後、水泳に復帰されている映像をメディアで目にされた方もいるのではないでしょうか。
造血幹細胞移植とは、血液疾患患者さんに対して、自分以外のドナーさんから血液の元となる細胞(骨髄・末梢血幹細胞・臍帯血)を移植する治療です。
移植後は、感染症や移植片対宿主病(ドナーさんから移植した細胞が、患者さんの細胞を他人とみなして攻撃するために起こる症状:表1)、晩期合併症(時間が経ってから発症するもの:表2)がおこることがあります。これらを防ぐために、継続した検査、診察、生活支援が必要です。
表1:移植片対宿主病の起きやすい部位と症状
部位 | 症状 |
---|---|
皮膚 | 湿疹・皮膚が硬くなる・皮膚が黒くなる・脱毛 |
口腔 | 口の粘膜・食事や歯磨きで痛み |
眼 | 痛み・充血・ドライアイ |
肝臓 | 血液検査で肝機能値の上昇 |
表2:晩期合併症の例
甲状腺機能異常、糖尿病、脂質代謝異常、副腎不全、骨粗しょう症、不妊など
そこで、当院では、平成24年10月より造血幹細胞移植後フォローアップ外来を開設しています。専門的な知識を持った医師と造血細胞移植学会の研修を受けた看護師が中心となり、多職種(薬剤師・栄養士など)と連携して支援をしています。
看護師は、個室やプライバシーに配慮した環境で、患者さんからのお話を聴き、必要なケアを生活の中に取り入れられるように患者さん・ご家族と一緒に考えています(表3)。
患者さんが笑顔でその人らしく生活できるように、今後も医師、看護師その他の医療スタッフとともに支援していきたいと思います。
気がかりなことなどありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
(造血細胞移植後フォローアップ外来看護師 中村真理子)
※掲載内容の詳細は各科外来・各病棟でお尋ねください。