脳梗塞の治療について~突然の異常を感じたらすぐに診断治療を~
大分県立病院ニュース
2021年03月29日
脳梗塞は突然発症する恐ろしい病気です。脳梗塞にもたくさんの種類がありますが、脳血管が血栓(血液のかたまり)で突然閉塞する塞栓性脳梗塞(脳塞栓)は、急性期の適切な診断・治療により血流の再開、脳梗塞の最小化を図ることができ、場合によっては症状なく退院できます。診断治療が遅れると脳梗塞の範囲が大きくなり、麻痺・失語・意識障害などの症状が治らないことがあり、時には命を落とす方もいらっしゃいます。
発症から4.5時間以内であれば血栓溶解薬の投与で血栓を溶かす方法が採られますが、適応の基準があり、発症4.5時間以内であっても投与できない患者さんもいます。また近年では、血栓溶解薬の投与の有無に関わらずカテーテルによる脳血管内治療(血行再建術)を行うことで血流の早期再開通を得ることもでき、治療成績が向上しています。県立病院でも脳血管内治療専門医が所属しており、いつでも対応しています。
図1は、突然の右麻痺、失語、意識障害が生じ、救急車で来院された60歳代の方のMRI画像で、左写真中央の白い部分がすでに脳梗塞となった部分です。赤い範囲が脳梗塞の予想される最大の範囲です。左内頚動脈が閉塞していましたが、幸い急性期に血行再建を行い血流の完全再開通(図2)が得られ、脳梗塞の拡大はわずかで(図3)、麻痺も改善し、自立歩行可能にてリハビリ病院へ転院することができました。
ご高齢の患者さんは麻痺・失語・しびれなどの異常を感じてもしばらく様子を見て、時間が経過してから来院される方が多く、手遅れとなるケースも多いのが実情です。突然の症状は我慢せずにすぐに救急車を呼んでください。
(放射線科 副部長 柏木淳之)
※掲載内容の詳細は各科外来・各病棟でお尋ねください。