小児の便秘について

大分県立病院ニュース

2021年10月29日

 小児の便秘は日常的によく遭遇する疾患ですが、程度は様々です。多くは機能的な問題でお薬による治療で対応可能ですが、外科的治療が必要な器質的な原因の場合があります。2013年に公表された小児慢性機能性便秘症ガイドラインでは、red flagとして便秘をきたす基礎疾患を疑わせる兆候があれば専門施設での精査が勧められています(表1)。外科的治療が必要な病気としてはヒルシュスプルング病、肛門直腸奇形が挙げられます。

 また、機能的な原因でも長期にわたり放置してしまうと直腸が拡張してしまい(図1)「うんちをしたい」感覚がなくなります(便意の消失)。多くは軽度の便秘によってできた硬便が、排便時痛をひきおこし、排便行動がつらい、痛いものだと認識することにより排便を回避してしまい、便秘を悪化させてしまうことにあります。このような悪循環が完成すると治療には時間的にも精神的にもかなりの負担がかかります。まずは、排便が気持ちよいもの、と思えるようなすっきり感を覚えてもらうようにお薬を使用していくことが大事です。

(小児外科 部長 伊崎 智子)

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