『多様化する肺がん薬物治療』
2022年01月31日
根治を目指した手術や放射線治療が困難な、いわゆる進行期でみつかった肺がんに対する治療の主役は薬物治療になります。肺がんの薬物治療に使う薬剤は、従来の抗がん剤、分子標的薬、免疫療法に大きく分けられます。
従来の抗がん剤は、主に細胞の分裂を阻害することでがん細胞の増殖を抑える治療法です。歴史ある治療法ですが、正常な細胞へのダメージもある程度避けられないという副作用があります。
分子標的薬はがん細胞がもつ特定の遺伝子異常やたんぱくに狙いを定めて、その働きを阻害することでがんの増殖を防ぐ薬剤です。正常な細胞への影響が比較的少ないのですが、薬剤性肺炎など重篤な副作用を認めることがあり、注意が必要です。またがん細胞に特定の遺伝子異常が認められた患者さんのみがこの治療の対象となります。
免疫療法はリンパ球と呼ばれる、いわゆる体内の異物を排除するパトカーのような細胞を活性化させ、がんを攻撃させる薬剤です。薬剤が直接がんを攻撃するのではなく、もともと人間が持っている免疫の仕組みを利用しますが、免疫の力が高まることで本来なら攻撃しなくてもよい正常な細胞にダメージを加えてしまい、副作用が出ることがあります。
肺がんと診断された組織を用いて遺伝子検査などの追加検査を行うことで、どの薬剤が患者さんに最も適しているかを見つけていきます。
肺がんに限ったことではありませんが、昨今のがん薬物治療の進歩は目覚ましく、毎年のように新しい治療薬が使用可能となっています。ただし、それぞれの薬剤には特徴的な副作用があり、がんの種類によっては使用できなかったり、患者さんの持病と相性が悪く使用が困難であったりします。詳しくは担当医とご相談ください。
肺がんに限ったことではありませんが、昨今のがん薬物治療の進歩は目覚ましく、毎年のように新しい治療薬が使用可能となっています。ただし、それぞれの薬剤には特徴的な副作用があり、がんの種類によっては使用できなかったり、患者さんの持病と相性が悪く使用が困難であったりします。詳しくは担当医とご相談ください。
私たちは、それぞれの患者さんに最も適した治療を提供し、また副作用ができるだけ軽くすむように努めてまいりますので、一緒に頑張っていきましょう。
(呼吸器腫瘍内科 医師 駄阿 徳太郎)