免疫抑制薬・ステロイドと新型コロナ感染症について
大分県立病院ニュース
2022年04月29日
膠原病・リウマチをはじめとして様々な病気に対して免疫抑制薬やステロイドを日常的に飲んでおられる患者さんは多いと思います。「ステロイドを飲んでいると新型コロナにかかりやすいんじゃないかなあ」「免疫抑制剤を使用しているけどワクチンは効くのかなあ」など様々疑問があるはずですのでその一部にお答えしたいと思います。
①「コロナが大流行しているのに免疫抑制薬・ステロイドを飲んでいて大丈夫か」
免疫抑制薬、生物学的製剤、抗リウマチ薬、ステロイド治療を受けている方が新型コロナに罹りやすいというデータはありません。ただし、リウマチ膠原病自体の症状が悪い時に新型コロナに罹ると重症化しやすいという報告はあります。つまり、コロナが怖いから薬を減らすのは間違いで、薬を調整して症状を抑えておく必要があります。
②「ワクチン接種前後で免疫抑制薬やステロイドは続けたほうがよいか」
通常の免疫抑制剤やステロイドは継続してかまいません。ただ、一部の免疫抑制剤はワクチンとの間隔をあけた方がいいものもありますので、主治医にご相談ください。
ステロイドはプレドニンで少なくとも10ml/g日以下ではコロナウイルスに対する抗体価はステロイドを飲まない人と変わらなかったというデータがあります。
まだよくわからない点もありますが、主治医と相談してできるだけワクチン接種をすることが感染予防には重要と考えられます。
(膠原病・リウマチ内科 部長 柴冨 和貴)