パーキンソンと言われたら ~ドパミントランスポーターシンチグラフィーの有用性~

大分県立病院ニュース

2022年08月30日

 神経内科外来には「パーキンソンと言われました」と言って受診される方が多数いらっしゃいます。パーキンソン病は特徴的な手の振るえや姿勢、歩行の様子から、医療や介護に携わる方のみならず一般の方にも広く知られています。しかし「パーキンソン症状=パーキンソン病」ではありません。

 パーキンソン病では脳の線条体という所にあるドパミン神経細胞が減少します。ドパミン神経細胞が減少するとドパミンを調整する部分(ドパミントランスポーター)も減少します。この変化を画像でとらえるのが、ドパミントランスポーターシンチグラフィーです(右図)。ドパミン神経細胞が減少すると線条体の色調が低く写ります(下図)。

 パーキンソン病では脳のMRI検査には異常がないため、症状や身体診察に基づいて診断されますが、この検査は線条体のドパミン神経の状態が把握できることから、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群やレビー小体型認知症を直接評価できる診断に有用な検査です。パーキンソン病なのかパーキンソン症候群なのかでも、治療薬の選択や病気の経過も異なります。ドパミントランスポーターシンチグラフィーは当院でも実施し、治療に役立っています。

(神経内科 副部長 岡﨑 敏郎)

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