精神保健福祉法のお話

大分県立病院ニュース

2022年11月30日

 精神科医療機関に相談したご家族や関係者から、このようなことを聞かれます。
 「入院が必要だから連絡しているのに『診察してみないと入院になるか分からない。』と言われる。何で?」
 精神科医療機関の入院は、精神科医師(精神保健指定医)の診察の上で『精神科治療の必要性』+『法律で定められた条件』をクリアしなければなりません。この法律が、『精神保健福祉法』です。

 精神保健福祉法による入院形態 

 精神科の入院には主に4つの入院形態があります。
•任意入院:
 ご本人の同意のもとに成立します。
•医療保護入院:
 精神保健指定医の診察の結果、入院治療が必要と判断された場合に、ご本人からの同意が困難な場合、ご家族(配偶者、2親等以内の血族)の同意のもとに成立します。
•応急入院:
 精神保健指定医の診察の結果、入院治療が必要と判断された場合に、ご本人の同意が難しく、家族の所在や連絡先が分からない場合、72時間を限度に行われます。
•措置入院:
 精神障害のために自傷他害のおそれがある場合で、知事の指示による2名の精神保健指定医の診察の結果、措置入院が必要と判断された場合に、知事の決定により行われます。

 任意入院以外は非自発的な入院になるので、人権に配慮し、法律を遵守した診療を行う義務が精神科病院にはあります。

当院では、患者さんの人権を尊重し、診察・看護・退院支援を行っています。

退院支援カンファレンス

 週2回、医師、看護師、精神保健福祉士、薬剤師が集まり、患者さんの情報共有を行い、退院支援について話し合いを行っています。

退院後生活環境相談員(精神保健福祉士)

 医療保護入院の患者さん1名ごとに、退院に向けてサポー トを行う『退院後生活環境相談員』を選任することが法律上定められています。
 精神医療センターでは入院形態にかかわらず全患者さんに担当相談員がつき、退院に向けた支援を行っています。

 例えば・・・ 
・退院後の生活に関する心配事
・医療費や経済的な心配事などの相談をお受けし、ご本人・ご家族と一緒に検討します。

 自立支援医療(精神通院医療)のご紹介 

 精神医療センターを退院された患者さんは、当院の外来診療ではなく、かかりつけ精神科医療機関もしくは地域の精神科医療機関への通院をお願いしています。
 精神科を通院される患者さんを対象に、医療費の負担が軽減される「自立支援医療(精神通院)」という制度がありますのでご紹介します。

Q1:自立支握医療とはどのような制度ですか?
 精神科病院に通院が必要な方のために、精神科の医療費の負担を軽減する制度です。
 (※入院中の患者さんは対象外です。)

Q2:どのくらい負担が軽減されますか?
 医療貴の自己負担が1割になります。
 また、ご本人の収入や世帯の所得によって1か月に支払う自己負担上限が設定されます。 上限に達したら、その月はそれ以上負担がかからなくなります。

Q3:診察費用だけですか?
 お薬代も対象となります。ただし、医療機関も薬局も事前に登録した1か所だけです。 治療上必要になった時は精神科デイケアや精神科訪問看護を追加することもできます。
Q4:申請をしたいのですがとうしたら良いですか?
 医師の診断書が必要となりますので、かかりつけの主治医、もしくはスタッフにご相談ください。
 申請はお住まいの市町村が窓口です。詳細はそれぞれの市町村にこ連絡ください。

(精神医療センター作成/精神科 部長 塩月一平 監修)

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