慢性腎臓病(CKD)の早期発見・ 早期治療のために ~健診受診の重要性~
大分県立病院ニュース
2023年08月25日
慢性腎臓病(CKD)は今や国民の8人に1人が罹患している国民病です。
①尿に異常がある(主に蛋白尿)、②eGFR(mL/分/1.73m2)が60未満、①②のどちらかが3か月以上続く時にCKDと診断します。eGFRとは推算糸球体濾過量のことであり血液中のクレアチニン濃度、年齢、性別から計算されます。eGFRは個人の腎臓の機能を表します。CKDの方は、CKDでない方と比べると末期腎不全(透析)、心血管イベント死亡、総死亡のリスクが上昇してしまいます。
自身がCKDであるかを調べるために、健診を受診する方法があります。健診にて行われる検尿検査および血液検査からCKDであるのかどうかが分かります(図1)。腎臓は沈黙の臓器と呼ばれ、末期腎不全の状態になるまで症状が出にくいです。CKDに対しては様々なお薬があり(SGLT2阻害薬やRAS阻害薬など)、早期のCKDほど治療がしやすくなります。令和3年の大分県、および大分市における特定健診受診率は残念ながら低く(図2)、自身がCKDかどうか知る機会を逃している方が少なくありません。CKDの早期発見、早期治療のためにも是非一年に一回健診を受けましょう!
(腎臓内科 部長 福長 直也)