病理検査室のティッシュバンク
大分県立病院ニュース
2023年11月28日
近年では特に肺がんを中心にがんの増殖遺伝子に対する薬が多く開発され、多くの方が治療による恩恵を受けています。この治療にはがんの増殖に関連する遺伝子を詳細に検査する必要があり、採取されたがんの一部の遺伝子の質が重要視されています。がんの遺伝子検査に多く用いられる検体は病理標本を作製する際のパラフィンに埋め込まれた組織ですが、遺伝子の保存が時に良くないことがあります。本当に遺伝子の保存が良く、詳細な検討が可能なのは生の標本を-80℃に凍結した検体で、ごく少量でも詳細な検討が可能になります。当院病理検査室では遺伝子検査等を目的として生検した標本など、生標本での凍結保存を進めています。保存された検体はシステム上で管理され、診療科の医師の要望に応じて提供できる体制を整えつつあります。このような保存提供体制は「ティッシュバンク」と呼ばれ、今後発展していくことが期待されます。
(臨床検査科病理部 部長 卜部 省悟)