食物経口負荷試験について

大分県立病院ニュース

2024年11月29日

 食物アレルギーは、皮膚、消化器、気道などから感作(通常は体に入っても問題ないものなのに、体の免疫が、悪いものとして攻撃する準備をすること)された食物アレルゲンによって、体に不利益な症状が引き起こされることと定義されています。体の一部に蕁麻疹が出るなど軽度のものから、アナフィラキシーと呼ばれる重篤な症状まで、食物を摂取することにより引き起こされる症状はさまざまです。食物アレルギーの耐性獲得に必要なものとして、皮膚のスキンケアなどで感作を予防し、経口免疫寛容(口から摂取した食品などの異物に対して過剰な免疫反応を起こさない)を発達させることが重要とされており、その方法として、食物経口負荷試験が行われます。
 食物経口負荷試験とは、食物アレルギーが確定しているか、もしくは疑われる食品を単回または複数回に分けて摂取させ、症状誘発の有無を確認する検査です。食物経口負荷試験を行う目的として、
①食物アレルギーの診断を確定すること
②安全に摂取できる量を決定すること
③耐性獲得を確認すること

などがあげられます。
 当院では、入院で食物経口負荷試験を行っています。アレルギーが疑われる食物の摂取量を設定し、少量から数回に分けて摂取し、症状出現に注意しつつ、慎重に行います。症状が現れなければ、陰性と判定し、自宅で週に2~3回摂取していただき、耐性獲得に向けて摂取量を増やしていきながら進めていきます。しかし、症状が出現した場合は陽性と判定し、時間をおいて再度食物経口負荷試験を行う方針としています。
 また、生活管理指導表を作成することで、保育園や学校で安全な食生活を送ることができるように努めています。

(小児科 医師 萩尾 泰明)

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