ロコモティブシンドロームについて
大分県立病院ニュース
2020年07月29日
ロコモティブシンドロームという言葉をご存じでしょうか
ロコモティブシンドローム(略してロコモ)とは、今から13年前の2007年に日本整形外科学会が提唱した、運動器の障害による要介護の状態、および要介護のリスクが高い状態と定義されています。日本全国で40歳以上の約4,700万人がロコモかその予備軍という研究報告があり、これは40歳以上の男性の63%、女性の69%に当たる人数です。ロコモでは運動器である骨、関節軟骨、椎間板、筋などの障害が、単独あるいは複合してみられます。
また、関節や背骨に痛みが生じて歩行機能が低下し、要介護・要支援といった状態になってしまうことがあります。要介護・要支援の認定者数は年々増加し、2018年では644万人と報告されています。2016年の調査では介護が必要になった理由のうち、1位は認知症で18.0%、2位は脳卒中で16.6%でしたが、ロコモが関係する関節疾患、骨折・転倒を合わせると21.5%にも達しており、認知症や脳卒中と同じように重要な問題だということが分かります。
ロコモ予防に必要なこと
骨、関節軟骨、椎間板、筋などの運動器は、50代以上の多くの人で機能が低下し傷んできます。特に関節軟骨や椎間板は運動器のなかでも最初に障害を起こしてきます。私たちが意識的に取り組むことで、その効果が上がりやすいのは筋力で、足腰の筋力を鍛えていると、関節軟骨や椎間板の負担を減らすことができます。無理は禁物ですが、適度な運動を継続して行うことによって運動器の機能の低下を遅らせることが可能となり、生涯にわたって介護の必要のない生活を送るために重要となります。
(整形外科 部長 東努)
※掲載内容の詳細は各科外来・各病棟でお尋ねください。