妊婦と新型コロナワクチン

大分県立病院ニュース

2021年11月30日

日本産婦人科学会は妊婦のコロナワクチン接種について

  1. 時期を問わずワクチンを接種することをお勧めします

  2. 妊婦の夫またはパートナーの方は、ワクチンを接種することをお願いします。

と声明を出しました。

◯妊婦の新型コロナ感染によるリスクについて

 妊娠中に新型コロナ感染しても基礎疾患を持たない場合、その経過は同世代の女性と変わらないとされていますが、妊娠後期に感染すると早産しやすくなったり、患者本人も一部は重症化することが報告されています。
 さらに感染予防の観点から、もともと経腟分娩可能な場合でも帝王切開分娩となる可能性が高くなります。また生まれた新生児にもまれに感染が起こります。そして児の感染が起こらなかった場合は出生後から母児分離となります。

◯新型コロナワクチンについて

 新型コロナワクチンはメッセンジャーRNAワクチンという初めて一般的に使用されるワクチンですが、開発に関わる研究は数十年前に開始されています。
 このワクチンに使われるメッセンジャーRNAは身体の中でウイルス蛋白の一部を作らせた後は数日で、この作られた蛋白の一部2週間程度消えてしまいます。しかし、免疫(感染防御する力)は長期間保たれるため新型コロナウイルス感染症の発症率、症状発現率、重症化率を低下させます。
 また、臍帯を通して抗体が胎児に移行するため児の感染を予防する効果もあります。

◯安全性について

 アメリカでこのワクチンを接種した約3.5万人の追跡調査では発熱や倦怠感などの副反応の頻度は妊娠していない女性と同程度で流産、早産、胎児発育の低下、先天奇形、新生児死亡の発生率はワクチンを接種していない妊婦と変わらないという結果でした。
 妊婦だから副反応が出やすいということはないと考えて良いと思います。
 アレルギー体質の方も基本的にワクチン接種可能で、もしアレルギー反応が起こったとしても15-30分間のワクチン接種会場での待機時間中に医師が迅速に対応します。

 授乳する場合はこのワクチン成分そのものは分泌されず、母乳中に新型コロナに対する抗体が確認されるため授乳中の子供を感染から守る効果も期待されます。

(第一産科 部長 豊福 一輝)

この記事はお役に立ちましたか?

お問い合わせはこちら

気になるキーワードを入力してください。