「リアリティオリエンテーションって何?」 ~認知症の方が安心して入院生活を送るための取り組み~

大分県立病院ニュース

2024年09月30日

 認知症の方は、物忘れの症状によって入院していることをすぐに忘れてしまうことがあります。このことで「なぜ自分がここにいるのか」「ここがどこなのか」がわからなくなったりします。病院は夜中でもスタッフステーションに電気がついており、また病室のベッドはカーテンで区切られたプライベート空間です。このため外の景色や日光を感じる機会が減り「今がいつなのか」がわからなくなります。また、聞き慣れない医療機器の音や医療スタッフが皆同じユニフォームを着ているので「誰なのかわからない」など、日常とかけ離れた特殊な環境下にあり、混乱しやすい状況に陥ります。

 このような混乱状態を引き起こさないようにするために、医療スタッフは「リアリティオリエンテーション」という取り組みを行っています。これは「今がいつ」で「ここがどこ」なのか、今話している「人物が誰なのか」などを意識的にお伝えすることで、患者さんご自身が置かれている状況を理解できるようにお手伝いする方法です。入院時にカレンダーや時計、メガネや補聴器の持参をお願いしているのは、その取り組みのためです。

 特に、普段使い慣れたメガネや見慣れたカレンダー・時計であれば、患者さんご自身でも日時をすぐに確認することができるので、一層効果があります。また、視覚や聴覚から受け取る情報はとても多く、特に人間が外界から受ける刺激の6割は視覚情報とも言われています。患者さんが周囲の状況を正しく認識でき、混乱しないようにするために、普段使用されているメガネや補聴器を準備されることはとても重要です。

(認知症看護認定看護師 長野恭子

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