アルツハイマー病の新しい治療
大分県立病院ニュース
2024年10月31日
アルツハイマー病は、認知症の原因として最も多い疾患です。
アルツハイマー病の治療には「薬物療法」と「非薬物療法」があります。
「非薬物療法」には、有酸素運動や歩行を行う運動療法や、ゲーム・ドリルなどを用いた認知刺激療法、過去のことを回想する回想療法、音楽療法などがあります。
「薬物療法」には、学習や記憶に重要な「アセチルコリン」という物質を脳内に増やす薬や、過剰になっているグルタミン酸という物質を抑える薬が主に使われてきました。
2023年9月、新たなアルツハイマー病の治療薬である「レカネマブ」という薬が日本で薬事承認されました。アルツハイマー病は、脳にアミロイドβやタウ蛋白という蛋白質が蓄積する事が原因と考えられています。このレカネマブは、アルツハイマー病の患者さんの脳内に蓄積したアミロイドベータに結合して、それを除去する、抗アミロイドベータ抗体製剤です。アルツハイマー病の原因に働きかける、世界で初めての治療薬として期待が寄せられています。臨床試験では、脳浮腫や脳出血の副作用があることもわかりましたが、この薬の点滴を2週間に1回、1年半つづけると、認知症の進行を約半年遅らせる効果も確認できました。長期的な効果については、これから明らかになってくると思います。
(脳神経内科 部長 麻生 泰弘)