大腸がんについて

大腸について

 大腸は約1.5mの長さがあり、図のように口側から盲腸、結腸、直腸、肛門の順で構成されています。大腸は消化吸収が行われた食物の最終処理をする消化管で、主に水分を吸収して便を作る臓器です。

大腸がんについて

 大腸がんは近年著しく増加しています。2020年の統計では死亡数では肺がんに次いで第2位であり、女性ではがん死亡数の第1位です。大腸がんの発生には、食事などの環境的因子が影響しているといわれています。食事では特に動物性脂肪やタンパク質の過剰な摂取が問題となります。
 大腸がんの年齢分布では60歳代後半にピークがあります。

大腸がんの進行度

 大腸がんは、大腸の壁の内側である粘膜から発生し、進行すると大腸の壁の深いところまで浸潤したり、周囲のリンパ節に転移したり、肝臓や肺などに転移したりします。検査結果を総合的に判断し治療前の病期(ステージ)が決定されます。大腸がんはステージに応じて治療の内容が異なります。

治療指針概略

内視鏡治療について

 内視鏡治療(大腸カメラでの治療)はステージ0やステージⅠの一部が対象です。具体的には粘膜内がん(Mがん)や粘膜下層(SMがん)が対象ですが、左図のように内視鏡治療後に病理診断(顕微鏡の検査)で外科的切除(手術)が必要になることもあります。内視鏡治療は当院では消化管内科・肝胆膵内科が治療を担当しています。

外科的切除(手術)について

 内視鏡治療(大腸カメラでの治療)の適応のない大腸がんで、遠隔臓器転移(肝臓や肺など)がない場合は、下図のように原発巣(がん)と周囲のリンパ節を切除摘出します。
 がんの場所により切除される大腸のイメージは下図のようになります。

当院の手術件数や特徴

 内視鏡治療が困難な早期の大腸がんだけでなく、進行大腸がんに対しても大半の患者さんに腹腔鏡下手術を行っています。開腹手術と比べお腹に数か所の穴を開けて手術用の特殊な鉗子で手術を行い、最終的には4〜5cm程度の小切開創からがんを取り出します。傷が小さく術後の痛みも少ないため、体の負担が少なく、早期退院が可能です。

当院の治療実績

当院の治療成績

 大腸がんはその他の消化管がん(食道がんや胃がん)と比較すると治療成績が良好です。肝転移がある場合でも根治的手術が可能な場合がありますし、他臓器に浸潤したがんでも拡大手術により切除が可能な場合があります。また、新しく開発された抗がん剤による治療成績も向上しています。
 当院では、早くから大腸がんの腹腔鏡手術に取り組んでおり、高度進行がんに対する拡大手術や抗がん剤治療も積極的に行っています。

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