心臓血管外科

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心臓血管外科について

われわれ大分県立病院心臓血管外科のWebサイトをご覧いただきありがとうございます。
当院の心臓血管外科は、1992年10月に初めての開心術を行って以来、患者さん中心の医療を基本的理念として常に迅速で質の高い医療を提供できるよう心掛けています。

我が国は高齢化社会を迎え、高血圧や虚血性心疾患等の疾病率が著しく増加しており、こうした状況下、循環器疾患を診療科の枠を超えて総合的に治療できるハートチームの重要性が強調されつつあり、当院は2015年4月に“循環器センター”の設立を行いました。これにより、循環器内科のみならず、救命救急センター、代謝内科、腎臓内科、放射線科、麻酔科などとさらに緊密な連携の下、最高レベルの医療を24時間365日提供できるように取り組んでいます。

当科のスタッフは3名で冠動脈疾患、弁膜症、大動脈瘤、末梢血管疾患、一部の先天性心疾患などありとあらゆる心臓血管外科手術を守備範囲としております。また、救急指定病院として急性大動脈解離や急性心筋梗塞などの緊急手術、透析患者さんや超高齢者の手術などハイリスク症例に対しても積極的に取り組み、好成績を上げています。

大分県立病院は県内の基幹病院として、専門性と技術力をもった多領域にわたる医療スタッフが院内で大勢活躍しており、我々の手術を支えてくれています。心臓や血管の内部を詳細に映し出す最新のCT、MR、エコーなどの動画がすべて電子カルテに集約されており、いつでも、どこでもスタッフやデータとコンタクトできるようになっています。
毎週、循環器内科と合同カンファランスを行い、個々の症例について最善の医療を提供できるようにディスカッションしています。術前カンファランスは心臓血管外科・麻酔科・臨床工学技士・手術室看護師・集中治療室看護師・循環器病棟看護師が参加し、協力して最高の手術ができるようにしています。

また、若手外科医の育成に関しても、 当院は、消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科の4領域とも独立した診療科としての修練認定施設であり、新専門医制度における基幹施設として承認を受けています。大分大学とともに県内における若手外科医育成の中枢機関としての自覚と責任感をもって行っていきます。

当科のモットーは、患者さん個々に応じた的確かつ安全で質の高い手術を、患者さんならびにご家族に十分説明し納得していただいた上で、誠意をもって提供することです。今後も常に最善の手術治療ができるようにさらに精進を重ねていく所存ですので、皆様の変わらぬご支援を心からお願い申し上げますとともに、何かお気付きの点やご希望などございましたらお気軽にお声をおかけください。

循環器センター所長兼心臓血管外科部長 山田卓史

診療分野

近年、心臓病は増加し、癌に次いで死亡原因の第二位を占めるようになっています。
深刻化する高齢化社会をより健康的なものにしていくには、動脈硬化による心臓、脳をはじめとした循環器医療が益々重要となっていくことは言うまでもありません。かつての救命のための心臓手術も、より健康的な生活を取り戻すための治療法へと変わりつつあります。

われわれは身体へのダメージを少なくして速やかな快復が得られ、そしてより健康人に近い生活が長く保証できるような心臓血管手術の取り組みを積極的に行っています。

診療体制

循環器内科と協力して内科・外科の枠を超えたチーム医療を構築し、ハイブリッド治療などがスムースに行えるよう改善を続けています。

診療内容

  • 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞):冠動脈バイパス手術、左室形成術など
  • 心臓弁膜症:人工弁置換術、弁形成術、不整脈手術
  • 胸部大動脈瘤・腹部大動脈瘤:人工血管置換術、腹部大動脈瘤ステントグラフト治療
  • 先天性心疾患に対する手術:心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、未熟児動脈管開存症など
  • 末梢血管疾患(慢性動脈閉塞など):バイパス術、カテーテルによる血管形成術(ステント留置術)、血栓除去術
  • 静脈疾患:下肢静脈瘤切除、静脈瘤焼灼術(高周波・ラジオ波治療)、深部静脈血栓症、下大静脈フィルター挿入など
  • 冠動脈バイパス術

高齢者や大きな病気をもった患者さんへの低侵襲バイパス手術

近年、患者さんは高齢化し、心臓手術の半数以上が70歳代以上となっています。
80歳以上の患者さんや、腎不全、脳血管障害などの、手術の危険の高い患者さんも増えています。
従来、心臓の動きを止める必要から人工心肺装置を使用して手術を行っていましたが、手術侵襲を少なくする為に、この人工心肺装置を使わないで、心臓が拍動したままでも冠動脈バイパス手術(心拍動下バイパス術)が行えるようになりました。

吸盤を持った小さな特殊固定器(スタビライザー)で、吻合に必要な部分だけを固定して手術が行えるようにする技術の開発により可能になった手術です。
心拍動下バイパス術により、手術の危険が高いと考えられていた患者さんに対しても、より安全に手術を行い、術後も速やかに快復し、社会復帰できるようになりました。
当院では現在冠動脈バイパス術はほぼ全例この心拍動下に行っています。

また、心筋梗塞後合併症に対する左室形成術(バチスタ手術・Dor手術・SAVE手術など)も積極的に行っています。

大動脈弁狭窄症

高齢者で増加している大動脈弁狭窄症は手術によって最も劇的に症状と心機能改善が期待できる疾患です。
大動脈弁や弁周囲の石灰化に対しても超音波を使用して可及的に除去し、安全に手術を行えるようになり90歳以上の患者さんでも手術を成功させています。

僧帽弁形成術

心臓弁膜症の手術は、自分の弁組織を切除した後に、人工の弁をとりつける人工弁置換術が一般的です。金属製の人工弁を用いた場合、血液が人工弁の周囲で凝血する血栓塞栓症などの合併症の心配があります。

また、ウシやブタなどの生体弁を用いた場合は耐久性に問題がありました。
最近では、人工弁の性能もよくなり、これらの合併症も少なくなっています。
一方、僧帽弁に関しては自分の心臓弁組織をそのまま残して、病変部分だけを修復する弁形成術の技術が進歩しました。

人工弁を用いない心臓弁形成術は、人工弁による血栓症や人工弁の交換などの心配がなく、健康人と同じ生活を獲得できる可能性が十分ある、優れた手術方法です。
以前のように心臓手術を受けたら普段の生活も制限をしなければいけないというようなことが少なくなりました。
心臓弁形成術はすべての弁膜症で可能ということではありません。
心臓弁形成術の可能性のある場合には、不整脈や心不全など心筋などのダメージがおきる前の早い時期に手術を行うことが勧められます。

進歩した血管外科手術

血管外科の分野も劇的に進歩しており、末梢動脈狭窄症に対してもPTA(風船治療)およびステント挿入により、できるだけ侵襲をが少なく、効果のある治療を行うようになってきています。

自己血輸血

当院では、可及的自己血輸血を行っており、2011年における他家血使用率は10%未満でした。

心臓・大血管リハビリテーション

当院では心臓大血管リハビリテーションの施設基準Ⅰに認定されており、術前・術後に早期リハビリを行うことにより、可及的早期離床、日常生活力の回復を計画的に行っています。

診療実績

外来担当医表

新患 ・ 再来 山田 卓史やまだ たかふみ 休診
(手術日)
山田 卓史やまだ たかふみ
田口 駿介たぐち しゅんすけ
休診
(手術日)
久田 洋一ひさた よういち

緊急手術について
科の性格上緊急入院、手術となる症例が多くなりますが、他科の医師・看護師・医療技術部門のスタッフと協力しあって、いつ何時でも最高の医療を提供できるようにしていく所存です。
スタッフ2名、レジデント1名、の計3名から成り、レジデントは1年間のローテーションで出向しています。

スタッフ紹介

部長(兼循環器センター所長) 山田 卓史

  • 日本外科学会認定 外科認定医・専門医・指導医
  • 日本胸部外科学会認定 心臓血管外科認定医
  • 三学会認定 心臓血管外科専門医
  • 心臓血管外科専門医認定機構認定 修練指導者
  • 日本胸部外科学会九州地方会 評議員
  • 日本脈管学会認定 脈管専門医
  • 大分大学医学部臨床教授
  • 腹部大動脈瘤ステントグラフト 実施医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術 実施医
  • International College of Surgeons: Cardiovascular Surgery Fellow
  • The Asian Society for Cardiovascular Surgery: An active member

副部長 久田 洋一

  • 日本外科学会認定 外科認定医・専門医・指導医
  • 三学会認定 心臓血管外科専門医
  • 心臓血管外科専門医認定機構認定 修練指導者
  • 日本心臓リハビリテーション学会認定 指導士
  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • ゴア バイアバーン ステントグラフト ワークショップ修了証取得
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術 実施医・指導医
  • VenaSealクロージャーシステム実施基準教育プログラム修了
  • ドイツ医師免許(Asistantarzt)

主任医師 田口 駿介

  • 日本外科学会認定 外科専門医
  • 胸部大動脈瘤ステントグラフト 実施医
  • 腹部大動脈瘤ステントグラフト 実施医

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